プロフォーマンス・スタッツについて

日本ビアリーグ実現のために

リンクの年間貸切状況を見て「どこにリーグのためにリンクを取る時間があるんだ?!」「非現実的だ!」と思われる方も当然いますよね。

ただ、皆さん年間何回練習のためにリンクを貸切していますか?その練習はそんなに必要ですか?ちなみにカナダでは社会人になったら練習は一切しません。カナダ人に聞いたら「何のために練習するの?」「練習より試合が楽しいでしょ」と当然のように言われました。

確かにそうだなと思いました。

例えば今社会人が貸切している時間をみんなで出し合えば、どれだけのアイスタイムが確保できるんでしょうか?
カナダのリーグのように1試合1時間程度で終わるのであれば、2時間の貸切ならば2試合できますよね。例えば1チーム年間12回の練習があるとしたら24試合分、各試合は対戦相手と半分ずつリンクを出し合うとして考えれば、各チーム年間6回のアイスタイムを提供することで1シーズン各チーム24試合確保できることになります。既存のチームについてはリーグのためのアイスタイム確保はそれほど難しいことではありません。

リーグ運営費

現在各チームは部費を集めてリンク貸切費用や大会登録費、日ア連登録費などにまわしていることでしょう。スポンサーがついていたりするので各チームによって部費の金額は違うとは思いますが、前述で話したように1人1試合あたり1,700円(スポンサー無しとして)であればそれほど高くはないと思います。スポンサーが獲得できれば更に個人負担金は軽減することができます。リンク代金やその他経費にもよりますが、おそらく個人的な出費は今までと大きくは変わらないのではないかと思います。各チームのリーグ登録費でリンク代金を支払い、レフェリー報酬を支払い、リーグ運営管理費とオフィシャル、ウエブ管理費、傷害保険をまかなうことになります。

現在各県では○○杯というような冠がついた大会があるかと思います。これらの大会を全てまとめてリーグ1本化にするのが理想です。これが県民大会となると難しいですが、民間のスポンサーであれば可能かと思います。冠はつかないものの短期大会と違って長期にわたるリーグになるので広告価値も当然上がります。

その他にも協賛してもらえるスポンサーを獲得するのが各チーム登録費の軽減、リーグの充実化に繋がります。
各企業が広告を出すときに当然考えるのが「費用対効果」、出資する金額に見合った広告宣伝効果が無いと今のこの不景気では協賛してくれる企業は多くないはずです。リーグ登録者が増え、リーグの知名度が確立され、メディアなどが関わってくればそこに効果が生まれます。ただアイスホッケーはまだ日本ではマイナースポーツですからそこまで知名度があがるまでにはまだまだ時間がかかります。ではどうやって協賛してもらうかを考えなければなりません。

カナダでは多くのチームがスポンサーをつけていますが、そのスポンサーの業種に多いのがバーやレストランです。これはチームの選手がリーグ中の半年間、スポンサーのバーやレストランに集まり食事をしたり飲んだりするため、バー側もスポンサーになることで、出資額以上に利益がでます。広告効果よりも実際の収入に結びつくので協賛する価値がでるわけです。

例えば登録者数200人規模のリーグを考えてみましょう。200人全員が入れる大きめなレストランと100万円のスポンサー契約をするとします。リーグ開幕時と終了時、1年に2回のパーティーを一人会費3,000円で行うとします。店側の売上は120万円、もちろん純利ではないですが、公式スポンサーとしてリーグ関係者が個人的に店を使うこともあるでしょう。広告効果も期待できるとして店側にとって全く悪い話ではないでしょう。

あるタクシー会社とスポンサー契約をするとします。リーグ関係者はタクシーを使う際にはできるだけその会社を使うようにします。例えば一人当たり年間1万円使ったとしてリーグ全体で200万円になります。使ったレシートを取っておいて、使った分のパーセンテージで契約金を決めるという方法もあります。

景気が良かった時代は協賛金集めはそれほど大変ではなかったことでしょう。ただ現在の景気状況では、企業が一番はじめに削るのが広告宣伝費です。「宣伝になりますよ」では説得力がなさ過ぎます。また協賛してもらえても、GIVEばかりでTAKEがなければいつかスポンサーは離れていくことでしょう。協賛してもらうかわりにリーグ(選手)側はスポンサーの利益になるように努力するべきです。

およそ一人の人間が支えてきた日本ホッケー界、でも今はみんなで支え合って協力し合って日本ホッケー界を支えていかなくてはならないのです。

もう一つ私たちが考えなければならないこと、それはアイスリンクの黒字経営です。この10年間でいくつのリンクが無くなり、どれだけのホッケーマンが泣く泣くホッケーをやめなければならなかったか。今の日本の景気状況を考えればどこのリンクも閉鎖に追いやられる可能性があります。そうなったら大好きなアイスホッケーができなくなるんです。だからリンク利用者はただリンク代金の割引をせがむのではなく、リンクの黒字経営に協力しなければならないのです。その利益はフェンスの修理や新しいゴールの購入など、色々な形で利用者にも還元されるはずです。
リンク経営側にとって必要なのが安定収入です。毎年この時期からこの時期は社会人リーグがアイスタイムを確保してくれる、もしくはリンクが運営するスクールやチームなどを作ることも安定収入となりますよね。社会人の中でどうしても練習がしたい!という人が参加できるような社会人練習会を設けることもできます。

リンクの黒字経営は日本ホッケー界を救うためには絶対必要な条件となります。

逆にこの経営黒字が数字として毎年計算できるようになれば、リンクの無い各県も行政に対してリンク設立の要望を出しやすくなります。

今はほぼボランティアと変わりない少ない報酬で試合に来てくれるレフェリーの皆様、カナダではレフェリーはたとえ社会人リーグでも仕事としてしっかりとした収入になります。今の日本では少ない報酬なのにチームから文句を言われ、先輩からジャッジについて怒られ、仕事が忙しくても審判がいなければ試合にならないので行かなくてはならない。その内これらのレフェリー、みんないなくなってしまいますよ。レフェリーがいなくなったら試合すらできなくなります。レフェリーはもっと感謝されるべきだしもっと報酬をもらうべきだと思います。そして報酬をもらうレフェリーは仕事として責任を持ってジャッジングしなければならないし、そうなれば更なる勉強とレベルアップへのモチベーションにもなります。

自分の試合ではないのにリンクに行かなくてはならないオフィシャル当番。本当に面倒ですよね。自分の試合じゃないから誰がゴールしようが反則しようが関係ありませんしスコアシート記入も適当になっても仕方ありません。でももしもゴールトップの選手に表彰があるとしたら、反則3回で出場停止になるならば、適当な記入は問題ですよね。これについても誰かが仕事として責任を持ってオフィシャルをすることが必要になります。カナダの社会人リーグは1人のオフィシャルが全ての作業をこなします。ゴールジャッジはいません。レフェリーが判断すればいいのですから。

充実した社会人リーグを実現するには、ボランティアでは限界があります。チーム登録費でこうしたレフェリー報酬やオフィシャル給与もまかなえるようにビジネスとして成り立つ必要があります。

「県内には数チームしか無くリーグ化は難しい」というところもあるでしょう。このリーグ化構想は県単位ではなく、リンク単位で考えています。だから現在使用しているリンクが運営するリーグに加盟するわけなので、アイスホッケーをするということを考えれば今までと何ら変わりません。だから県境にあるリンクのリーグでは両県のチームが加盟することもありえますし、もっとアイスホッケーをプレーしたいという人はAリンクのリーグとBリンクのリーグ両方に加盟することも可能なのです。

もちろん今まで通り県単位での大会などは各連盟管理の下で行います。
前述で申し上げたように、今までと違うのは自分たちの年間の練習枠を数回分リーグの試合時間として提供し、練習の代わりに試合をするだけなのです。

カナダでは各アイスリンク同士で提携を結んでいる場合もあります。私がプレーしていたリーグでは各デビジョンで優勝すると、モントリオールのリーグ優勝者とチャンピオンシップを行います。こちらはチームの旅費すべてリンク側が負担するので、つまり優勝旅行という感じですね。日本でもトップの社会人レベルだけではなく、各レベル同士の全国大会が可能になるとまた更に盛り上がりますね。

現在○○杯など冠がついた大会のスポンサーを全て集めてリーグ1本化が一番理想的だと話しましたが、今までの手順を一気に変えるのはとてもエネルギーのいることです。

まずは簡単に小規模で初めてみましょう。

今まで通り従来の大会に参加しながら、自分たちの練習時間で試合をするというだけなのです。それならば一大決心も必要なく、練習時間提供してくれるチームを探すだけですよね。新規チームも大歓迎です。例えば県登録では別のチームの選手と一緒にチームを作ってもかまいません。

参加チーム数、試合数などが決まればリンク代やその他経費をまかなうためのチーム負担金が決まります。とにかくまずは興味のあるチームを集めることですね。是非一度ご相談ください。

日本リーグチームの相次ぐ廃部、リンクの閉鎖、競技人口の減少、日本アイスホッケー界は史上最悪の危機に直面しています。このままでは日本からアイスホッケーが無くなってしまうのではという危機感すら抱いています。
カナダに来てアイスホッケー競技の素晴らしさを知り、楽しさを知り、自分のホッケー人生をものすごく後悔した私が今できること、それがホッケー王国カナダのように誰もがホッケーを楽しんでプレーできる環境作りに力を注ぐことです。

昔のチームメイトとおじいちゃんになってもホッケーをプレーしてビールを飲んで盛り上がる。そんな楽しいホッケー環境実現のために、皆様の一人一人の力を少しずつだけ貸していただければと思っています。

まずは「青森県素人アイスホッケーリーグ」の更なる充実化を計り、ここを成功モデルとして全国に「日本ビアリーグ」を広めていきたいと思っています。

今後とも「プロフォーマンススポーツ」中島仁実をどうぞよろしくお願いいたします。